ベルリン在住の○○です。第2弾ダンサーMISA KOIDE
今回はヨーロッパでダンサーとして活躍されるMISA KOIDEさんのインタービュー記事です。
Photo by Owen Ling
川嶋(以下川)こんにちは、今日はどうぞよろしくお願いします。KOIDEさんは現在ベルリン、ロンドンを中心ダンサーとして活躍されていますが、以前にイギリスにバレエ留学されていますね。バレエは日本でもずっと習っていたんですか。
KOIDE はい、5歳の時からバレエ教室に通っていました。きっかけはおぼえていないんですが、小4の位の時目覚めて、急にバレエのレッスンをすごく頑張り始めたんです。そして小6の時「私はバレエを踊ることを仕事にしたい」と思ったんです。
川 それもすごいですよね。私は小6の時、何を仕事にしたいかとかそういうヴィジョンは全くなかったですよ。
KOIDE それはたぶんバレエという業界が関係しているんじゃないかと思います。バレエって16とか若くしてどんどん仕事をしていかないといけないんです。留学するのも早いほうがいいと言われますし、年齢のリミットがあるんです。
イギリスにバレエ留学
川 そうなんですね。そして、高校卒業も待たずしてイギリスにバレエ留学したんですね。海外にバレエで留学という気持ちは以前からあったんですか。
KOIDE はい。反対に海外じゃないとバレエが仕事にならないので、そういう環境に行きたいと思って。
川 じゃあ、結構英語も頑張っていたんですか。
KOIDE 普通に勉強はしていましたが、英会話教室にいったりしたことはありませんでした。
川 イギリスに行って大丈夫でしたか。
KOIDE あまり座学のないところで、基本踊ってるみたいな学校だったのでなんとかなりました。
川 じゃあ、これから留学したい日本人はそういう座学が少ない学校にターゲットを絞って受験するというのもアリですよね。
KOIDE そうですね。バレエに関しては実力がものをいうので、英語は入ったら何とかなるだろうと思っていました。でも、卒業後イギリスでミュージカル「王様と私」の仕事をしたんですが、そこで普通の人が留学1年目で感じる英語の壁があって、かなり苦労はしました。
日本帰国
川 その後はいったん日本に戻られるんですよね。
KOIDE はい。学生のビザも仕事のビザも切れてしまったので日本に帰国して、3年ほど振り付けアシスタントの仕事をしたり、ジャズやコンテンポラリーのレッスンを受けたりしました。そのうちミュージカルなどのお仕事をいただくようになったり。
川 日本とヨーロッパを比較するとどうですか。
KOIDE 日本ではオープンなオーディションは少ないので、入り込むのが難しいです。大きな事務所に所属たり、コネクションが重要だったり。
その点ヨーロッパはオープンオーディションも多いし、今はフェイスブックとかでも募集があったりするんです。そういった意味ではコネクションなどがなくてもチャンスがあると思います。反対にどんなに経歴があっても、コネクションがあっても仕事が取れるとは限らない。そこがヨーロッパでダンスの仕事をして行く難しさです。
再びイギリスへ
川 3年間日本にいた後、またイギリスに戻られたんですよね。それはどうしてですか。
KOIDE ワーホリのビザが取れたからです。でも正直迷っていました。日本で3年積み重ねたものがあるし、日本でもう少し経験を積んだほうがいいんじゃないかとも悩みました。でも、「今行きたいという気持ちがあって、そのチャンスが目の前にあるなら行くのは今だ」と一緒に仕事をした先輩や周りの人に背中を押してもらって。
それでもワーキングホリデーの1年目はきつかったです。人前で踊る仕事がしたくてヨーロッパに出てきたけれど、仕事が取れない。大きなオーディションでいいところまでいったも結局だめだったり。それは、私の踊りは求められてないというか、踊りを仕事をするのは現実的に無理じゃないかという感覚が強くなって。でも、人にも支えられてここにいるんだからあと1年頑張って、それでも結果が出なかったらもうあきらめようと思っていました。
そう決めてからはとにかく行動を起こしました。公演で踊っている日本人がいたら、どうやって役を得たのか話を聞きに行ったり、少しでも自分の視野が広げられそうな機会があったらどこでも出かけていきました。
そこで出会ったのがストリートダンスだったんです。
ストリートダンスとの出会い
川 バレエ、ミュージカルときてストリートダンスですか。それはまたどうしてそこに行きついたんでしょう。
KOIDE 色々な人を紹介してもらったりしていたんですが、あるストリートダンサーと出会って、ロンドンにダンサーが集まるクラブに連れてもらったんです。ストリートダンスは全然できなかったんですが、イベントに行くようになりました。
こんな世界があるんだ!と思いました。今自分が感じている音楽を踊って、それを誰も否定しない。個性を出したらユニークだといってもらえる。私はクラブに現れるバレリーナと言われていました。
違うジャンルであるストリートダンスをやっても仕事にはつながらないという人もいたんですが、私の場合、結果的に仕事は取れるようになってきました。
川 それはストリートダンスの仕事ではなく?
KOIDE はい、コンテンポラリーやミュージックビデオなどの小さな仕事がだんだん取れるようになっていきました。それは、ストリートダンスに出逢ったことで、新しい世界観を生み出せたり、表現力が上がったんだと思います。それでダンスを諦めるのはやめようと。でも、ビザが切れちゃったんですよね。
Photo by Wulf Willis
ベルリンへ移住
川 それでベルリンでワーキングホリデーを取られたわけですね。
KOIDE はい、ベルリンが一番ロンドンに近い状態で自分のしたいことができるんじゃないかと。
川 ベルリンのダンスシーンはどうですか。
KOIDE ミュージカルの仕事は少ないですが、反対にバレエとコンテンポラリーは強いですね。フリーランスでやっていくには、なんとなくでは仕事が取れません。自分はどの方向性でやっていくのかを見極めないとしんどくなっていっちゃうと思うんです。
川 KOIDEさんはベルリン滞在中にもう一度「王様と私」のオーディションを受けて、役を勝ち取りましたよね。その後ベルリンでフリーランスビザに切り替えられて。イギリスのビザは難しくなってきているようですが、ベルリンはフリーランスビザも準備するべきものをきちんと準備して手順をふめば大丈夫ですからね。
KOIDE ベルリンに来たのはビザが大きい理由ですが、どんな理由にせよフリーランスとしてやってみるのは自分の糧になると信じていました。ベルリンでも新しい出会いがたくさんありましたし。そうはいっても国を変えるっていうのは精神的にも簡単なことではありません。もう一度イギリスかドイツ以外に移住したいかというと、それはわからないですね。
川 では、最後に将来の展望はどうでしょう。将来って言っても10年後とか15年後とかを思い浮かべる人もいると思うんですが、Misa Koideにとって将来はどこらへんにあって何をしていますか。
KOIDE そうですね、3年後くらいかな。オリジナル作品のオリジナルキャストをやってみたいです。ストリートダンス、バレエ、ジャズ、コンテンポラリーを生かした私のスタイルを確立したいです。
川 今日はありがとうございました。今後のご活躍を楽しみにしています!
2019年3月7、8日にMISAさんのダンスイベントがベルリンにて行われます。
ぜひ足を運んでみてくださいね!